第192回金曜サロンスペシャル『蓮華草のように』 

日時  令和7年6月6日(金) 午後6時~8時
場所  地域振興プラザ4階 大会議室
話し手 山中 桂さん
テーマ 「蓮華草のように」
参加者 32名 (出演者、事務局職員を含む)

                            今回の金曜サロンスペシャルは、「蓮華草のように」と題して、百村に生まれ育ち、稲城愛にあふれる山中さんが、竪谷戸の田んぼに一面に咲いていたれんげ草を思いながらのお話でした。

 まずは、会場を華やかに飾り付けてくださったお弟子さんたちの紹介と山中さんの自己紹介から始まり、ご自身のエッセイ集から「ああ、竪谷戸」の冒頭部の、“こぶし”と“山桜”の会話をお弟子さん2人が朗読しました。
 続いて百村周辺の古い景色や懐かしい南武線のチョコレート電車の写真などを紹介しながら、竪谷戸の地形や谷戸の説明があり、竪谷戸のれんげ草で首飾りや王冠などを作って遊んだ、自然を友に育った経験が、山中さんのいけばなの原点とのお話がありました。豊かな自然の中でいろいろな植物や生き物に接し、花を友として遊び成長してきた中で、植物を愛でる心や、感性が育まれてきたように思うと、ご自身のことを振り返りました

  社会人になっていけばなと出会い、その後、稲城市華道協会に入会して、稲城市芸術文化団体連合会を通じて様々な芸術分野の人たちとの出会いがあり、いけばなを通して現代芸術の分野にも触れてみたいと考え、「いけばな造形大学」に4年間通って現代アートや西洋美術史の勉強をしたこと。そこで自分のいけばなと現代アートを融合させることができるかを考え、野外展などで作品を展示したこと。
 最近は稲城市の芸術祭で知り合った5人の仲間と「ヒメシャラ展」を7年に渡り開催してきたことなど、ご自身のいけばなと芸術の探究について話されました。
 一方でいけばなを次代を担う子どもたちへ伝承することを目的に、市内の小学校3校でいけばなを教える活動をしていることや、向陽台のまち開きから37年間、一日も欠かさず京王稲城駅に稲城市華道協会の会員の皆さんといけばなを飾ってきたこと。この活動は、「きれいなまちは犯罪が少ない」と言われるように、まちの防犯にも役立っていると思っていることを話されました。

 こうした様々な芸術文化活動を通じて思うこととして、「美しい花もやがては枯れ朽ちていく儚いものである。美は移ろいゆくものである。」「竪谷戸の田んぼに美しく咲いていたれんげ草。儚く移ろいゆくものであるが、れんげ草が枯れてゆくときは、根に窒素というコメ作りには欠かせない肥料のもとを残し、そして多くのコメが実る。竪谷戸の自然の中で育まれた自分は、豊かな感性を学び取ることができたように思う。それと同様に芸術文化も皆さんの心に豊かな感性を与えてくれるものだと思います。」とお話を締めくくられました。