2021/4/2金曜サロンスペシャル「霊長類とそれを取り巻く環境について」

第152回の金曜サロンスペシャルは、平尾市在住でMOF(オランウータンと熱帯雨林の会)の会員の北村征治さんを話し手にお迎えしました。

 北村さんが霊長類の生態に興味を持つきっかけとなったのは、京都大学理学博士の鈴木晃氏による講演を聞いてからだそうです。以降、同博士の主催するMOF(オランウータンと熱帯雨林の会)に所属し、熱帯雨林に生息する数少ない野生オランウータンの生態観察や環境保全に力を注いできました。北村さんご自身もインドネシアのボルネオを何度も訪ね、油ヤシのプラントをはじめとする企業による営利活動によって、熱帯雨林における環境破壊が進んでいる現実を目の当たりにして、「このままでは人間のエゴから、同じ霊長類たちの種が絶滅してしまう」という強い危機感を抱いたそうです。

 北村さんは、霊長類と人間の社会生活を対比させて様々な興味深いお話をしてくださいました。今、人間に飼われているペットがいかに不自然な生活をしているか。人間の家族の成立の要素には寒冷化があったこと。種の存続のために多産になったことや、サバンナに出ていかななければならないために肉食になったことなど。人間が本来持っている子孫をいかに絶やさないかという本能により様々な家族形態を形成していったことなどをお話しいただきました。

 また、ゴリラやチンパンジーなどもインフルエンザやポリオに感染すること、その結果、何頭かは減るが、彼らは自力で免疫を体内に作ってきたことなど、今のコロナウイルスなどとの関係からとてもわかりやすいお話をしてくださいました。

 最後に絶滅危惧とされているオランウータンについては、まだまだ正確な頭数のデータなど生態系が掴めていないこと、オランウータンの種を絶やさないためには熱帯雨林のサイクルをどのように調和させていくかが大切であり、人間が熱帯雨林には立ち入らないようにすることが最も効果的な方策であると力説されていました。オランウータンは一度数が減ってしまうと母親が子どもを産む時間も長いため、数の回復には相当の時間を必要とするとのことでした。

 参加された皆さんからは数多くの質問が寄せられ、北村さんのお話がいかに興味深いものだったかということがよくわかりました。


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