2023/3/3金曜サロンスペシャル 【南山地区における地域コミュニティの形成について】

 稲城市における「新たなまち」として歩み始めた南山にこれから地域コミュティというものをどのような形で広げていくのか。その拠点として設置された南山BASEの現在の取り組みやその活動が地域住民とのコミュニティづくりにどのように結びついていくのか、現状と展望について東邦レオ㈱の職員で南山BASEの樹木医である川口さんにお話をいただきました。

1 南山地区における地域課題

 南山地区には総分譲戸数600棟に及ぶ民間デベロッパーによる大規模開発に伴い、多くの新住民が集い、暮らしはじめるプロジェクトがありますが、それを進めていく大きな前提として、地域文化・歴史・周辺に広がる里山といった豊かな資産の継承と深い理解が大切になってきます。
 また新しい自治(活動)組成と、新住民と周辺住民が共に次世代を歩んでいける、サポートや実践の取り組みが今後も必要となってきます。

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2 南山BASEの活動

川口さんからは上記の地域課題について、南山BASEが現在、どのような取り組みをしているのかをお話いただきました。
 まず、第一に南山BASEは幾多の世代が自発的に楽しく融合できる体験活動の拠点基地でありたいということ。
 第二に、行政や地域団体とも連携しながら街の魅力を醸成し発信するコミュニティ活動を継続していくこと。
 第三に、季節感が感じられる文化活動や助け合い活動を通じて、住民同士の顔が見える新たなふるさとづくりの機会とシビックプライドの醸成への伴走者であること。以上が南山BASEの活動とその目的はこの三点になります。

3 南山BASE開設までの経緯

2012年 南山東部土地区画整理事業・事業計画変  更
2013年 地権者有志により一般社団法人「エリアマネジメント南山」設立
    野村不動産と市民団体の協力を得て翌年コミュニティ支援事業を開始
2016年 エリマネ拠点「奥畑公園事務所」竣工※野村不動産出資
    同年 スーパー「ヤオコー稲城南山店」オープン2018 年「プラウドシーズン稲城南山」分譲開始 総分譲戸建600棟〈野村不動産〉~2027年(予定)
2020年10月「南山BASE」OPEN
2025年~ 野球観戦・都民の憩いの場として楽しめる「TOKYO GIANTS TOWN(仮称)」(新)ジャイアンツタウン竣工予定

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4 南山BASEの活動実績

(1)『植樹祭・名札づくり』新住民と地元活動団体・事業者とが一緒に植え付け
(2) 多摩木材を使った展望遊具を作成・ペンキ塗りは子どもたちが行い、その後職人が取付作業を実施
(3)『東京ヴェルディ(フットサル)選手と共に芝張り体験』地域事業者と協働体験
外構工事は全部やらずに一部を残して、芝生張りを職人に教えてもらいながら親子とヴェルディ選手が一緒に芝を張付けた。
(4)『東京ヴェルディ(フットサル)選手と一緒にボール蹴り』地域事業者と一緒に遊ぶ 芝張りの後はヴェルディ選手と一緒にボール遊び。共同の体験を通じて選手と距離が近づき、身近なファンになる。その後のスポーツ振興にも役立っている。

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5 南山BASEが進めてきたその他の活動

(1)出張オープンハウス
  ① 稲城市と連携し、住民の声やニーズを直に拾えた。
  ② アンケートツリーで幅広くコメントをいただけた。

(2)講演会の開催 講師;信州大学上原教授「南山を楽しむ~南山の魅力を再発見・深堀りしよう~」
  ① 住民が南山を楽しく使えることを考える。
  ② 協力団体・人を共同企画を通して繋げる。

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(3)「地元事業者コラボ連携」 
 地元業者のキッチンンカーで食べたいものをリクエストし、事業者がそれを受けてキッチンカーで南山BASEに届ける企画

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(4)「緑・里山体験 いきもの観察会」~南山ならではの緑・里山体験会~
  ① いきもの観察会(鳥・昆虫)
  ② ネイチャーゲーム
  ③ 南山を歩こう(東京稲城里山義塾)
  ④  夜の里山ナイトウォーク

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(5)「南山ワンダー」
 南山の身近な課題やテーマを、大人も子どももみんなで対話する場

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(6)「スペース貸出し ワークショップ」地域活動の推進
  ① アロマスプレーワークショップ
  ② バランスボールワークショップ
  ③ 南山ママによるレジンギーホルダー作り
  ④ 百村青少育おまつり利用

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(7)「暮らし・文化を育む企画」~いなぎ・南山素材でつくるワークショップ~
  ① しめ縄飾りづくり
  ② 灯ろうづくり
  ③ クリスマスリースづくり
  ④ お庭のハーブ配布

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6 まとめ

 川口さんをはじめ、南山BASEの職員の皆さんは南山地区のコミュニティづくりに一生懸命取り組んでいらっしゃるのがよくわかりました。南山に限らず、住民のコミュニティを作ろうとする時、積極的に企画やイベントに参加してくださる住民と、あまり関心のない住民、逆にコミュニティ自体を良しとしない住民等、様々な住民がいると思います。
 いきなり全ての住民をというのではなく、まずは子どもや主婦層等、企画に参加しやすい年齢層をターゲットにしていき、次第にそのご家庭にいる父親も参加してくるという形が望ましいのではないかと思いました。
 また、南山という地番はなく、現在、南山地区の地番区域となっている百村、東長沼、矢野口地域の先住民との連携については、非常に難しい壁があると感じました。今後の地番や字の変更なども視野に入れて、まずは南山地域の中の連携を確立してからそれらの地域との連携を考えても良いのではないかと思いました。
 川口さんは現在40歳、一児のお父さんとして、ご自身も冒険、旅行が大好きな方です。これからも多くの市民が立ち寄れる場所として更なる南山の魅力を発信し続けていってほしいと思いました。、

                      (Y.OGAWA)