日 時 令和8年3月6日(金)午後6時~8時
場 所 地域振興プラザ4階 大会議室
話し手 宇野 健一さん(都市計画コンサルタント、東京理科大学建築学科非常勤講師)
テーマ 『一周遅れのトップランナー?多摩ニュータウン稲城地区について』
参加者 29名(出演者、事務局職員を含む)

通算で200回目を迎えました今回の金曜サロンスペシャルは、多摩ニュータウン稲城地区の開発に関わった宇野さんに、開発の経緯やまちの魅力、1周遅れのトップランナーの謎などについてお話しいただきました。
始めに自己紹介があり、次に多摩ニュータウン開発における計画技術の変遷として、第1期~第3期の解説がありました。
・第1期=多摩市の諏訪・永山・愛宕・貝取・豊ヶ丘地区の開発で、もっぱら高度経済成長を下支えする都市勤労者用に低廉な住宅を一気に大量に供給しようとするもので、多摩ニュータウン開発の基本的な目的に基づいて開発が進められた。
・第2期=多摩市の落合・鶴巻地区の開発で、第1期住民のアンケートなどから「全体的に単調でメリハリに欠ける。同じような風景の連続で掴み所がない。わがまちを誇りに思える空間・場が意外と少ない。」という反省に基づいて、それを裏返して計画目標に置き換え、「わがまちを誇りに思え自慢したくなるような、アイデンティティを明確に持った街を計画すべきである。」ということにつながっていった。
それを象徴的に体現しているのが、落合・鶴巻地区の基幹空間「富士見通り」であるとのことです。
・第3期=稲城地区の開発で、多くの大きな問題(①高度経済成長の真っ只中で良質な砂利が採取できる地質のため「用地買収の難航」②「埋蔵文化財問題」③「雨水排水処理の難航」)を抱えていたためニュータウン開発に大きく出遅れることになったのであるが、その分先頭を走っていた多摩市域でのニュータウン開発の良いところも悪いところも全てがよく見える、ある意味“おいしいとこどり”の地区が稲城地区であり、それが「1周遅れのトップランナー?」の謎の答えとのことでした。
その稲城地区の開発については、マスタープランを検討していた日本都市総合研究所のワーキンググループが、稲城市の全体のまちづくり計画にある「緑の輪」構想に大いに共感して、稲城地区開発はこの「緑の輪」をいかに先導的かつ実践的に具体化し得るかを計画テーマに設定し、その答えとして「地域にひらかれた街-ファインヒル稲城」という稲城地区開発のコンセプトに収斂されていったとのことです。この考え方を具体化したのが「稲城城山公園」「稲城中央公園」「上谷戸公園」などとのことです。

その他の特徴として稲城地区がこれまでのニュータウン開発の反省を踏まえて目指した最もわかりやすい具体例が、街らしさを演出する「生活環境軸」(幹線道路の歩道沿道に日常生活上あったらいいなこんな店、の立地を進めるもの)であり、また、文化の香りのする小径「カルチャーパス」(地域社会の宝である子どもたちが多くの時間を過ごす学校を中心とした街づくり)とのことです。

さらに南下がりの地形を活かした絵になる住宅地づくりとして、地形の低いところには低層の戸建住宅を、中腹には中層集合住宅を、高いところには、背後の緑を隠さないように配慮しつつ高層ポイント型集合住宅をという空間計画の緩やかなルールとなって具体化されています。
それらの結果、日本中でも誇るべきニュータウンではないかと、宇野さん自身考えているとお話を締めくくられました。
