第100回 金曜サロンスペシャル 『食とエネルギーの自給~小川町の取り組みの紹介』



話し手;多田誠さん

テーマ:食とエネルギーの自給 〜小川町の取り組みの紹介〜」

月日;6月5日
告知の前で
この回の金曜サロンスペシャルは何と100回目、本当に良く続いたものです。継続は力と言いますが、まさにそれを実感できた回でした。
祝い100回
 

当日は、小川町に関する2本の映像を見ながらの紹介でした。1本目は201110月に放映されたクローズアップ現代「食とエネルギーを自給する暮らしの可能性」、2本目は、201311月に放映されたBS TBS「関口宏の風に吹かれて 〜里山で受け継がれる

話し手の多田さんは、サラリーマンを退職後、このクローズアップ現代の映像を見て、小川町の「小利大安」をテーマにした、持続可能な地域づくりの取り組みに共鳴、それ以降、稲城から小川町に通って、そのまちづくりにも関わるようになったということです。そうした自らの体験も交えての話はとても有意義でした。

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今回は映像での紹介が中心でしたので、その一つ、クローズアップ現代の番組についてNHKのHPから引用した文章を参考にして紹介することにします。

※文章の要約は小林(以下「小生」)

 

小川町は、八高線の沿線にある町で、和紙のまちとしても有名です。ここが今、
地域で食とエネルギーを自給する地域自給の先進地として、大きな注目を集めており、週末ともなると全国からたくさんの見学者が訪れます。その地域づくりの中心的な役割を担っているのが、霜里農場の農場主、金子美登さん(当時63歳)です。

※金子さんは、以前多摩市連光寺にあった農業者大学校の第1期の卒業生で、そんな縁もあって、小生も大分前に霜里農場を視察したことがあります。

金子さん 

【金子さんの取り組み】

耕作面積はおよそ3ヘクタール。
水田や畑、果樹園などがあり一年を通じて60種類もの野菜や果物を栽培しています。収穫した野菜や果物は直接契約している30軒の家庭に定期的に届けています。契約者は天候などで野菜の量や種類が変わっても変わらぬ金額を払い続け農家を支えています。

そして家庭などから出た生ごみは農場の堆肥として利用します。
農家と家庭の間で食料生産のサイクルが出来上がっているのです。エネルギーもまた循環しています。

料理で使われた天ぷら油は、この農場で遠心分離機にかけて不純物を取り除きトラクターなどの燃料として利用しています。

さらに家畜の排せつ物と生ごみから発生するメタンガスで煮炊きをするためのエネルギーが得られます。
こうして循環型のエネルギーや資源を利用して農業を行い永続的に食べ物を作り周囲の人々に供給できる地域自給のサイクルが出来上がっているのです。
※小生が金子さんの農場を視察した時に、この仕組みを見てビックリ、牛2頭の糞尿で、家族5人が使う台所のガスを賄っているのだということでした。「冬場はガスが出来にくくて困るでしょう?」って聞いたら、「その時は、ガスが溜まるまで、煮炊きを待てばいい!」の発言には、取り組みに対する信念のようなものが感じられました。
※質疑の時に、川島実さんから発言があり、「むかしは、稲城でも当たり前にように行われていたんだよ」ということでした。地域の中で資源を循環させるということは、決して特別なことではなかったということです。

金子さんがそうした地域自給の土台となる有機農業を始めたのは今から40年前。
背景には1970年代のオイルショックがありました。しかし当初は地域の農家や消費者からなかなか理解されませんでしたが、それでも諦めずに地域自給の方法を模索。
農場見学会を開くなどしてその仕組みや意義を何度も説明し続けました。
こうして一人、また一人と理解者が出始め10年を過ぎたころから今のような形にまで広がっていったのだそうです。

 

【金子美登さんが中心となって進める小川町の地域自給、その輪は地場産業をも巻き込んでいます】

◆ある豆腐店さんは金子さんの農場で作られている大豆を輸入大豆のおよそ5倍で買い取ることにしました。品質がよいという理由だけでなく地域の農家を支えるためです。出来た豆腐は1丁280円。
値段は高いですが独特の豊かな風味が評判となり人気商品になりました。その結果、地域にとどまらず遠方からも客が買いにくるようになり町に新たな現金収入をもたらしています。これによって豆腐店の従業員の数も以前の3倍に増えました。「地産地消」の取り組みです。

◆その豆腐店以外にも地場産業の商店が次々と地域自給の輪に入ってきています。その数はおよそ15店舗。
町の新たな雇用の創出にもつながっています。

◆そして今その輪は地域から50キロ離れた都市部の企業にまで広がり始めています。
さいたま市にある社員200人の建築関係の会社。資源を地域で循環させようという金子さんの志に賛同しその取り組みに参加させてほしいと申し出ました。そして、年間およそ4トンの米を購入。希望する社員に給料天引きで供給。
配送料込み5キロで2600円と価格は少し割高です。それでも自分たちが米を高く買い取ることで地域の農家が元気になれば企業として社会を支えることにつながると考えています。

すなわち・・・

「農家の方がこの金額だったらやっていける。要するに元気が出る。
よーし、来年も作るぞ〜っていう元気が出る価格っていうところ。もうけみたいな考え方じゃないんですよ。そうなるとそれは持続可能だと思うんですね。」

こうした、支援しようとする消費者のコメントには勇気づけられます。

◆地域自給への企業の参入は地域のほかの農家たちに大きな変化を与えています。
企業が米を高く全量買い取ってくれるならと集落すべての農家がこの地域自給の輪に加わったのです。

一人の農家から広がった地域自給の取り組み。
生産者と消費者を結ぶ食とエネルギーの循環が地域社会に変化の芽を生んでいます。
全体光景
 
【アグリキュレーターとう仕事】

 質疑の時間で、多田さんって何者ですか?という質問をぶつけてみたのですが、やんわりカワされた感じ・・・。

でも、分かったことは、小川町で生産者と消費者を結びつける活動をされているということでした。

 

例えば、軽トラ市の開催、農に関する講座の開催、アグリキューレター・フェスの開催とその資金集め(野菜Boxの販売)等々
金子さんのような方は特別な存在であって、一般の農家の方が消費者と直接結びついて、何かをするとか、仕組みを作るというのはなかなか難しい。でも農業者と消費者の間に、多田さんのように両者を結びつける存在(人や組織)があったら、きっともっと上手く、農業も地域も回っていくのではないでしょうか。そんな印象を持ちました。

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顔のみ
多田さんの名刺の肩書きには「アグリキュレーター」とあります。

元々「キュレーター」は、美術展等の企画・構成・運営をつかさどる専門家のことを指し、アートキュレーターといった使われ方がされています。

でも、「アグリキュレーター」というコトバは初めて聞きます。

 

とても興味があったので、そのことについても、後半の話し合いの中で取り上げたかったのですが、時間がなくて、そこまで辿り着けませんでした。

というわけで、多田さんが、この「アグリキュレーター」という仕事に関ろうと考えるようになった経緯やその仕事に馳せる思いなどは、多田さんのブログに詳しく載っていますので、興味がある方は、ぜひお読みになってください。

「アグリキュレーター」で検索すると、多田さんの取り組みがたくさんヒットします。

 

(文責:小林攻洋)