第154回の金曜サロンスペシャルは、向陽台在住で、舞台の企画・演出・振付・脚本を手がける傍ら、自らもダンサー・俳優として活躍されてきた郡司行雄(ぐんじゆきを)さんを話し手にお迎えしました。
自ら俳優やダンサーとしても活躍されてきた郡司さんは、日活で子役としてデビュー、数多くの著名な俳優や歌手と共演されてきました。最初は、ご自身の経歴と芸能界との関わり、エピソードをお話いただきました。
日劇では春・夏・秋のおどりに出演。ウェスタンカーニバル等の単発ショーに出演。コント55号とは楽屋風呂で一緒になることが多かったこと、たばこが1箱70円の時代に劇場の日当は1日220円でしたが、大好きな踊りが出来るというだけで満足していたことなど、興味深いお話をいただきました。
郡司さんはその後、海外公演やロイヤル赤坂というマンモスキャバレーで振付を担当し、ミュージックフェアやサウンドインS、花のステージ、紅白歌合戦やレコード大賞といったメジャーな番組で、ダンサーとして起用されるようになりました。東宝製作の「スカーレット」に出演したことをきっかけに、本格的にミュージカルの世界に入ることになります。
当時、振付師、山田卓氏に誘われ劇団四季製作「アプローズ」に出演、その後浅利慶太氏の演出による「ウエストサイド物語」にてご本人の夢でもあったベルナルド役に抜擢されました。当時、浅利慶太氏をして、「郡司君と出会い日本でも「ウェストサイド物語」が上演出来ると確信した」と言わしめるほど、ダンサーとしての実力は誰もが認めるところとなりました。
また、ミュージカル「メイム」では越路吹雪さんの相手役に抜擢されましたが、越路吹雪さんが初日の公演後、肋骨3本にヒビが入り急遽雪村いづみさんがピンチヒッターで共演することになった事や、「屋根の上のヴァイオリン弾き」での森繫久彌さんとの共演に係るエピソード、その他、美空ひばりさんや水前寺清子さんとの地方公演のお話、山口百恵さんのラストコンサートでは、百恵さんご自身からの依頼でソロの踊りを披露したことなど、別世界にいる方々との交流についてのお話は、会場の皆さんも興味津々に聞き入っていました。
ミュージカル「メイム」で主演を演じた1977年には、ニューヨークへ単身渡米し、帰国後は郡司ジャズ&TAPダンススタジオを創設、 ミュージカル劇団マイライフカンパニーを作り、自主公演である「ポケットに宝石を持つ芸人たち」シリーズを新宿モーツァルトサロンにてスタートすることになりました。
郡司さんは今も、ミュージカルの舞台を多くの子どもたちに経験してほしいという思いを強く持っていらっしゃいます。大手プロダクションに所属しないと子供たちが活躍できないシステムになっており、そのため、レッスンを繰り返していまだに本番の舞台に立てない子供たちがたくさんいることについて強い疑問を呈していらっしゃいます。
何百回のレッスンを経験した子供たちよりも、1回のステージでたくさんのお客様から喝采を浴び、仲間たちと舞台をやり遂げた達成感を得た子供たちの方がエンターテイナーとして実力がつく。目もキラキラしてパワフルな顔つきに変わり、希望と喜びに満ちてくるということをご自身の経験からもわかっていらっしゃるからだと思います。
子供たちには常に「台本に書かれている台詞だけでなく隠された裏にあるものを想像する楽しさ」「舞台の額縁からはみ出るパワーと一枚の絵を描くような舞台を演じること」等、そして私生活でも「誰に対しても挨拶をしっかりすること」、「ご両親はもちろんのこと、常に周りの人への心配りと感謝を忘れないこと」を厳しく伝えています。ミュージカルの舞台は大変大きなお金がかかりますが、郡司さんは「今までどのくらいの私財を投げ売ってきたかわからない」というほど、ミュージカルの舞台には今も情熱を注いでいらっしゃいます。
それは、明日の日本のミュージカル界をしょって立つ、原石のような子供たちにご自身の夢と将来の日本を託しているからできることなのだと感じました。
郡司さんは現在、アプローズミュージカルにて舞台の企画製作を行っており、今までに142本の舞台を製作されました。
一方、国際ヤングダンスフェスティバル・TAPライブ・東京レビュー等の舞台企画等も行いながら、活躍されています。(Y.OGAWA)
経歴(歴任)
演出者協会会員
日本ジャズダンス芸術協会理事
日本TAPダンス協会理事長
多摩舞踊連盟会長
郡司企画株式会社 代表取締役
振付
東京ディズニーランド(メインステージ)
ダイハツ・トヨタ 東京モーターショー
振付演出:愛知万博(北東北三県)
水前寺清子ショー 他
郡司企画製作ミュージカル 多数
YouTube
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ご興味がある方は、是非ご覧ください。