渡辺さんは環境と暮らしのアドバイザーという肩書を持っています。人が心身ともに健康に暮らすことが、今起きている地球環境や健康の問題を解決することにつながるという考えの元、今回の金曜サロンスペシャルでは命と地球に優しい暮らし方を提案されています。日常生活の視点から地球や命が喜ぶ暮らし方とはどのようなものなのかをわかりやすく解説していただきました。
1 【 今、地球で起きている事 】
今、地球で起きている問題はコロナだけではありません。日常生活における環境による健康被害などの事例は枚挙にいとまがありません。
一例としては「化学物質過敏症」が挙げられます。私たちの身の回りには多種多様の化学物質が使用されていますが、呼吸したり、飲食をすることで、知らず知らずのうちに化学物質を体内に取り込んでいます。この過敏症がひどい人だと柔軟剤のにおいをかぐだけでその場から動けなくなってしまいます。
人工的な香りを香害と呼んでいますが、科学物質に対する拒否反応は多岐に渡っていて、ウィンナー、パン、コーヒー、化粧品、柔軟剤、台所洗剤、合成洗剤など、多くの製品に含まれています。去年まで大丈夫だった人が突然、化学物質過敏症になってしまうという事例も散見されるようになってきました。
<化学物質過敏症を予防する5つの習慣>
①規則正しくストレスの少ない生活をする
②良い空気を取り込む
③オーガニック食品、手作り和食に移行する
④水道水に含まれる化学物質の除去
⑤毎日少しの運動で汗をかいて体調を整える
2 【 私たちの暮らし方と地球環境 】
✱ 今の問題の原因は我々の暮らし方にある?
様々な製品からくる環境汚染は私たちの生活の中に着実に浸透してきています。
最近ではイソシアネードやマイクロプラスチック(スクラブの粒)など、石油化学製品でできているものが多くなってきています。特にエチレンの生産量は右肩上がりになっており、人体に害が多いとされています。
エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時から13歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート(集団を追跡する)調査です。
やはりその調査の中でも化学物質という話は出てきています。私たち人間の行為は良かれと思ってやっていることが、簡単、便利、安価を求める市場になってしまっています。
3 【 エシカルという考え方 】
✱SDGsの前からある、賢い暮らし方とは?
エシカルは「倫理的な」という意味の英単語でファッション業界から発信された言葉です。「倫理的な」という意味だけでは少し漠然としていますが、「エシカル消費」「エシカル商品」という言葉で使われていることが多く、地球環境や人、社会に対して配慮されたものを購入・消費したり、またそのような商品のことを指します。
エシカルは、消費者が賢くなってきちんと商品を選びましょうという運動であり、人間が本来持っている良心から派生した社会的規範です。
環境に配慮した製品選び、地球環境に優しい製品選び、再生可能エネルギーなどの利用オーガニック素材のドレスやオーガニック食材を使った料理など、エシカルな製品選びをしていくことは、健康な暮らしをしていくことにつながります。身近なところからエシカルな行動を始めていくことが大切です。
4 【 イカす貴方は地球に優しい! 】
✱ お肌の環境破壊は地球の環境破壊!
「綺麗になりたい」と思って購入し、使用した美白化粧品で顔や首、腕などの広範囲に白斑ができ、一部色が戻るなどして「まだら」模様になったりした事例や黒皮膚病裁判など、使用した化粧品による肌のトラブルにまつわる訴訟の歴史は過去からかなりの数がありますが、勝訴に至った事例はほとんどありません。製造物責任法(PL法)では、メーカーが製品を流通においた時点における科学・技術水準によっては「欠陥」を発見することが不可能であったことを証明すれば、責任を負わないこととされています。消費者にはその製品の裏書きに成分表示が記載されていることで、製品に関する告知はなされていると解釈できることから、訴訟を起こしても勝訴するにはかなりハードルが高いということになります。
過去には和解という事例はありますが、会社側の賠償額などは不明なままになっています。
一般的に「界面活性剤」とは石油由来の合成界面活性剤のことをそう呼んでいますが、長時間、肌につけると肌に負担がかかると言われています。卵などの天然由来の界面活性剤と比べると、石油由来の合成界面活性剤の方が肌に残りやすいため、肌への負担が大きいと言われています。
成分には乳化力、強制浸透力、脱脂力などの肌をコーティングする成分が含まれています。
界面活性剤の毒性は強く、危険性はラベルに表示されていますが、その内容に関心を持つ消費者は少ないのが現状です。また、家庭から排水される界面活性剤は下水処理場で処理されて環境中に排出されます。水中に生息している生物などの細胞膜を溶かして浸み込み、細胞を壊死させるとされていて、生態系にとっても甚大な悪影響を及ぼしています。
「イカす貴方は地球に優しい」とはまさに私たち消費者の製品選びが環境破壊にもつながっていることを肝に銘じておかなければなりません。
5 【 命と地球が喜ぶ生活とは?(Pleasure Life!)】
✱“つかうもの”を自ら考え選び 足し算から引き算の生活へ
✱命と未来の地球が喜ぶ生活へ
渡辺さんは製品に関する成分表示は告知義務としてなされていても、消費者にとってはそれが自分の身体に悪影響を及ぼすものかどうかは、表示を見ただけではわからないと言います。
だからこそ、私たち消費者が市販されている製品に対して予備知識を持って、製品を選ぶという賢い選択をしなくてはならないと警告されています。
合成洗剤の使用はやめて香料やエデト酸塩などの添加物がない純石鹸に替えていくこと、また、身の回りの化学物質もできるだけ避ける必要があります。
合成洗剤の他にも、防虫剤、芳香剤、消臭剤、塩素漂白剤、整髪料、シャンプー、リンス、洗浄剤、化粧品、香水、殺虫剤、蚊取り線香、家具など、今まで足し算をしてきた製品をもう一度見直し、これからは、人体に影響を及ぼすものを身の回りから引き算していく生活をすることがこれからは大切であると渡辺さんは言っています。
これらの製品が原因で発症する化学物質過敏症、シックハウス症候群、自律神経失調症など、何かわからないけれど身体がだるい、重い、片頭痛が頻繁に起きる等の症状がある時には、上記の製品が原因かもしれないと疑っていくことも必要であると渡辺さんは言っています。
渡辺さんは、普段、私たちが何気なく使用している生活用品に含まれる有害物を全くゼロにすることは難しいかもしれませんが、身体に取り込む化学物質の総量を減らしていくことはその製品選びによってかなりの減量ができるとおっしゃっています。
身体にも、そして地球環境にも優しい製品選び、これについては渡辺さんも具体的に内容成分等について推奨している製品もあるそうです。
製品選びに悩んだ場合は、ご連絡をくださればいつでもご相談にのりますとのことでした。
【 まとめ 】
普段、当たり前のように使っているシャンプーやリンス、石鹸、洗剤などには人体に悪影響を及ぼす成分が含まれているという事実を知り、とても驚き、衝撃を受けました。
スーパーに並んでいる商品はそれぞれ有害性のあるものは消費者庁などの試験をクリアしていると思っていましたが、国の認可基準も人体に蓄積していく成分まではおそらく想定はしていないのでしょう。
今回、渡辺さんのお話をお聞きして、製品に対する国の認可基準の甘さにも問題があるように感じました。
世間に出回っている製品や食品の中には、大半の国民が人体に影響する製品とは気づかずに使用したり、口にしているものが数多くあるのだろうということは想像できました。
そのようなことから、これからの時代は、消費者がもっと製品に対する勉強をしていくしかない時代なのかもしれないと思いました。とても身近であり、また参考になるお話を聞けてありがたいと思いました。
ところで、話は全く変わりますが、渡辺さんは稲城市内でウッドベース奏者として活躍されています。私も音楽について詳しいほうではありませんが、ウッドベースの音色はエレキベースとは明らかに違っていて、人の耳にも優しい音色に聴こえます。渡辺さんが手軽に手に入るエレキベースではなく、環境に配慮したウッドベースを選んだのも今回のお話とつながる部分もあるのかもと思ったのは、私の深読みでしょうか。
渡辺さんには、ぜひ、この次は音楽談義を中心にした金曜サロンスペシャルを期待しております。(Y.OGAWA)