月日:6月6日(金)
話し手:廣澤毅さん(大丸在住で稲城野草散策の会の世話人。植物イラストレーターでもあり、著書も多数。その中の一冊「冬芽ハンドブック」は眺めているだけでも楽しくなる)
テーマ:「稲城の雑木林に自生する野草たち その魅力に取り憑かれて」
この日は、梅雨に突入してすぐの大雨の日、はたして参加者がいるのだろうかと心配しましたが、そこは根強いファンをお持ちの廣澤さんのこと、20人を超える参加者があり、主催者としてはホットしました。
当日廣澤さんが用意してくれた資料「稲城で見られる野草たち」には貴重なデータがいっぱいでした。
〈雑木林編〉=55種、〈水田・湿地編〉=31種、〈多摩川編=10種〉、〈公園・市街地編〉=9種の野草たちがリストアップされていて、説明欄には、科名、撮影日、花期が、そして備考欄には、例えばシュンランであれば〈野生のシンピジューム〉、タニイキョウには〈稲城では超希少〉、キランソウには〈地獄の釜のふた〉といった説明も加えられていて、野草観察にはとても参考になる資料でした。
そのうちの約50種については、スクリーンに映し出し、詳しく説明を加えてくれました。
稲城には1,200種ぐらいの野草があり、そのうちの6〜7割が在来種、したがって3〜4割が外来種だそうです。その比率がその地域の「自然度」を知る目安になるとか。例えば多摩地区ですと、調布市や府中市は約5割、檜原あたりで約8割だそうで、その意味では稲城の自然度は高い方ではないかということでした。
ちなみに、市部の緑被率は、稲城はあきる野市に次いで2番目だそうです。
野草好きにはたまらないこの日の金曜サロンスペシャルでした。
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【イラストレーター廣澤さんの
人生第2のターニングポイント】
私が個人的におもしろいと感じたのは、システムエンジニアイだった廣澤さんが、いまは植物イラストレーターとして、生き生きと第2の人生を謳歌していることです。
その辺のことについて、自己紹介の中でさりげなく紹介してくれました。
生まれ育ったのは新潟県新発田市、その後システムエンジニアとして長野県須坂市に27年間住むことになるのですが、30才過ぎに家を建てた。できるだけ重機を入れず、元々の地形を活かした家だったそうです。すると自生の野草が勝手に庭を占拠しはじめた。長野県ですからきっと珍しい花がたくさん咲いていたことでしょう。
そこで、せめて庭にある花だけでも覚えようとしたのが野草にのめり込むようになったきっかけだったそうです。
絵を描くようになったのは、植物をよく知るためだそうです。
図鑑の写真を見ただけでは区別がつかない植物がたくさんある。例えばススキとオギとかサラシナショウマとイヌショウマっといったように・・・。そこで実際に描いてみようと思った。描いてみるとそれらの違いがよく分かった。
たしかにそう!例えば、稲城にはスミレが10種類ぐらいあるそうですが、私は未だにその違いが分からない。きっと描いてみればすぐに覚えるだろうと思いつつも、なかなか描くことに踏み出せないでいる!そこがプロの植物イラストレーターになった廣澤さんとの違い、好奇心と探究心と決意の違いなのだろうと、しみじみ感じさせられたこの日の金曜サロンスペシャルでした。