理事研修で川越へ



2月23日に市民活動サポートセンターいなぎの理事研修で川越へ行って来ました。

 

研修の主旨は、川越のまちづくりに最も大きな影響を与えている「NPO法人川越蔵の会(以下「蔵の会」)」の活動に対する考え方やその経過について話を聞くことと、その具体的な成果をまち歩きをしながら視察することでした。

川越蔵の会の事務所は、築100年以上の古民家、玄関脇には雛人形が飾ってあり、道行く人が立ち止まって眺めていました。私たちはそこで、理事で事務局長の野本吉憲さんから約1時間半にわたって、設立の経過から今に至るまでの活動の状況についてたっぷりお話を聞くことができ、とても刺激を受けて帰ってきました。
ひな人形
蔵の会表示
説明を聞く
 

以下、野本事務局長の話の内容と視察の感想について報告させていただきます。(理事:小林攻洋)

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私自身は、数年前にも、いなぎエコ・ミユーゼの一員として川越のまちを視察したことがあります。その時の案内人は、NPO法人が運営している映画館・川越スカラ座の元代表をしていた東海林さんでした。

その時は、一番街(蔵造りの街)を初めとして川越の町並みが、むかし訪れた時に比べて、とても活気付いていたことにとても驚いた記憶があります。

ところが、今回行ってみて、別の感慨を抱きました。一番街がすっかり観光地化されてしまっていたからです。
一番街 
屋根瓦 

この日頂いた資料を見ると、蔵の会が発足した1983年の川越市の観光客数は、年間約200万人。それに対し、現在は650万人を超えています。ですから、ゆっくり散策し、まちを味わい尽くすという感じではなくなってしまったように思われました。商売の仕方も含めてです。

 

事務局長の吉本さんも、そのことに触れ、たしかに一番街は来客者が多過ぎ、観光地化してしまってはいる。しかし、直接商売に関わっていない私たちが否定することではない、といった趣旨のことを述べていました。

その上で、いま蔵の会が力を入れていることは、一番街だけではなく、また観光客だけを対象にするのではなく、ここに住んでいる人たちが元気になれるような取り組みです、とおっしゃっていました。

シェアサイクル 

具体的には、古民家のリニューアル、露地の再生、歴史的建造物の保全と活用などです。

その方法について「三位一体」という言い方をしていましたが、例えば古民家をリニューアル再生する場合は次のようなステップを踏むのだそうです。

みんなに呼びかけて清掃会を開く。

綺麗になったら、そこにアーチストを呼んでイベントを開催する。
その後にシンポジウムを開いて、そこをどう活用したらいいか、みんなでアイデアを出し合う。

 

旧鏡山酒造は、市が買い取って、今は「小江戸蔵里」として賑わっています。他にも川越織物市場跡地の活用や弁天横町再生への取り組みなどが課題になっているようです。そうしたリニューアル再生事業には、きっと蔵の会が濃厚に関わり、三位一体の手法を適用しながら、進められることでしょう。

 

川越蔵の会と言えば、その活動の支柱にあるのは、1988年に、アレグサンダーのパターンランゲージの手法に則って作られた「一番街町づくり規範」です。

この「規範」ということについて、吉本さんは次のように説明してくれました。

規則や条例は、基本的には、やってはいけないことを決めるもの、それに対し規範は、こうやったらまちが良くなるヨ!元気になるヨ!という考え方や事例を示したものなのです。だから、みんなが前向きになれる。活動を継続していけるのですと・・・。

 

2013年から始まった「川越灯りと音と文化の祭典」では、蔵の会が、ライトアップ部会を担うなど、今も精力的に活動していますが、そんなふうに絶えず前進しようとするエネルギーの源は、規則でしばるのではなく、「規範」を示しながら、みんなで考え、話し合って、より良いアイデアを出し合い、みんなが納得しながら進めるという、プロセスを大事にしたまちづくりの手法を実践しているところにあるのかも知れません。

醤油工場 
 時計台

一番街からちょっと外れると、観光地化されてはいないが、訪れる人を優しく迎え入れるユニークな取り組みをしている姿が随所に見られ、まだまだ川越のまちづくりからは目が離せません。