行政協働企画講座「対話によるまちづくり〜福岡県福津市・津屋崎の事例をもとに〜」

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毎年、稲城市の職員研修を兼ね、市職員と市民がとともに学ぶ、行政協働企画講座を2月2日(金)に開催しました。

今年は、福岡県福津市津屋崎の事例をもとに、津屋崎ブランチ(http://1000gen.com/)代表の山口 覚さんを講師に迎え、「対話によるまちづくり」をテーマに行いました。

津屋崎ブランチで取り組んでいるまちづくりの軸の1つである「対話」に焦点を当て、その大切さ、取り組む時の心構えや、「対話の場づくり」を通じて地域にどんな影響が広がっているのか、学校と地域が連携して取り組んだ事例をあげながら、お話いただきました。そして、ただ講演を聞いて終わりではなく、聞いてみて感じたことを共有したり、体験してみることも織り交ぜた講座でした。

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◎中学校での対話の場づくりの紹介
中学校での話し合いの例をお話いただき「大人になる前にしておきたいこと」というテーマを設定し、中学生たちが安心して本音を話せる場づくりをして話し合いをしたところ「大人は危険な経験をさせてくれない。大人の役目は、危ない直前で止めに入ること、どこまでは安全かの距離感を経験させることではないか」「自分たちは思春期で、性のことにとても興味がある、でも大人はちゃんと目を見て話をしてくれない」と大人もびっくりするような深い意見が沢山でたと言います。本音で話せる場をつくり、それを真摯に受け止める。そういう関係性を対話のなかから作り出していくことが、地域にとってとても大切なことだとお話いただきました。

子どもたちも自分の意見を主張し、大人たちもうけとめ活動していくなかで、主体的になっていき、なかなか集まらなかった地域の掃除にも積極的になった、とその大きな成果があったそうです。

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◎未来会議室 3ケ条
議論は、互いに主張を戦わせて、論破をする話し合いの仕方。対話は、お互いに感じたこと、価値観を受け止め認め合い、共通点を見つけたり、折り合いの付け方を学び、アクションを生み出していく話し合いの仕方。相手を否定をせず、相手の話をしっかりと聴き(これが難しい)、一般論でなく、自分の感じたことを話す。自分だけが正しいとは限らないと思うこと。これが対話では大切だと伝えていただきました。また、講師との距離をなるべく同じになるように会場をつくること、テーブルに座る人数、手を動かしながら喋ること、音楽を流しカフェのようなリラックスした空間をつくることも、話し合いに大きな影響を与えるのだと、おっしゃっていました。

津屋崎ブランチの会議室は「未来会議室」と名付けられていて、「未来を語る」「断定しない」「人を褒める」の3ケ条掲げていると言います。
これは、山口さんがたくさんの会議を経験してきたなかで、成果の出ない会議の要素を裏返して、楽しく未来が変えていく会議に大切なこととして発明したもの。 どんどんそれぞれの現場に取り入れて、未来を変えていってほしいと、エールを送ってくださいました。

◎対話を体感してみて
実際に、講演の中でお話いただいた心構えをもとに、対話の時間も作りました。普段の会議は、筋書きが事前に決まっていて、その流れの通りに進み、決まった落としどころになる。こういった話し合いは新鮮だった、というような感想や、心得がとても役に立った、本音を話す場をどんどん作っていきたい、といった前向きな感想もいただけました。

3時間という長い時間ではありましたが、対話をしてみるとあっという間。気づきの多い講座となりました。